鳥頭の備忘録

徒然なるままに書いてみます。

映画レビュー.1「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」を見たので

レビューしてみたいと思います

 ベンジャミン・バトン 概要

 

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2008年アメリカで制作されたドラマ映画

監督 デヴィット・フィンチャー

主演 ブラットピット

日本での公開は2009年~

アカデミー賞では13部門でノミネートされ、美術部門など3部門で受賞した。

 

物語要約

この物語はベンジャミンの妻であった「デイジー」と

その娘である「キャロライン」が

「ベンジャミン」の手記を読みながら

「ベンジャミン」の人生を追う形で展開される。

 

81歳の状態で生まれた呪われた赤子「ベンジャミン」は

その不吉さから生みの親から捨てられてしまう。

捨てられたベンジャミンは老人ホームに保護され、

ホームを経営する黒人夫妻に育てられる。

年を取るごとに若返っていくベンジャミンは

周囲の人々と逆回りで数奇な人生を歩むことになるのであった。

 

ベンジャミンの人生

ベンジャミンの人生は特別な物語ではなかったように見えました。

ただ一点、彼の人生が周囲と逆回りであった点を除いて。

老人ホームで様々な人々から教えを受けながら育ち、

船乗りとして若手時代を過ごした。

しばらく後に老人ホーム経営に生活を戻し、

最後は世界を巡る旅に出てその人生を終えた。

 

経歴を見てもわかるように特別な要素は一つもない。

何かを成し遂げた英雄的な物語では無い。

しかし、だからこそ、この映画からは学べることが多かったように思えます。

私たちの多くは「ありふれた人間」であり、「ありふれた人生」を

最後まで送ることになる。

そんな英雄的でない人間の人生にもこれだけのドラマがあるということを

思い出させてくれる映画だったように思えます。

 

あなたにも、あなたの友人にも

街ですれ違う見知らぬサラリーマンにも

そこれへんで寝ているホームレスにも

文脈があり、ドラマがあり、今がある。

そんな当たりまえのことを思い出させてくれた映画でした。

 

私たちの周囲に学びは転がっている

ベンジャミンは周囲の人々から多くを学んびました。

趣味のピアノ・酒・女性関係・愛情の素晴らしさ

そして、どうにもならない理不尽な世界。

学校教育を受けていなかったにも関わらず、

ベンジャミンは「人生に必要な要素」を周囲の人々から教わっていました。

周囲の人の優しさもさることながら、

ベンジャミン本人の「知的好奇心の旺盛さ」が学びに結びついたのかなと思います。

 

人生を豊かにする要素ってこういった「好奇心」から学べることが多いのかな?

とそう思えます。

「与えられたもの」よりも、「自ら見つけたもの」のほうが大切なのかもしれません。

人生は「自ら見つけたもの」が増えるほど精神的に豊かになっていくのかもしれない。

 

私の「麻雀」も、大学生になってからの「読書」も、「映画」も

自身で一から見つけた最高の趣味だと思います。

 

これを読んでいる方の「自分で見つけたもの」も聞いてみたいなぁ

なんて思いました。

 

あなたが「自身で見つけたもの」はなんですか?

 

人生は走馬燈

物語はベンジャミンの手記を沿う形式で進みました。

そしてこの物語は最後まで読破されます。

その長さは2時間30分。

 

私たちの人生も本にしたら2時間30分でまとまってしまう。

ということでもあります。

 

なかなかにぞっとさせられましたね。

アルバイトして、就活して、勉強して、遊んで、...

と忙しく大学生活を送ってきたつもりでしたが

いざ「人生を本にまとめなさい」といわれると

びっくりするくらい「圧縮」できてしまうんですよね。

この4年を本にしても50ページ届かないかもしれない。

 

そして、本に残されることも

「個人にとっての大事件」に絞られるのかなとも思いました。

資格の合格や、新しい恋人との出会い、引っ越し。

大きな文脈的変化が無ければ

「個人史には残らない些細なこと」として処理されてしまう。

それが「日常」なんだなと感じました。

 

よく「日常描写が少ない」とか「愛情表現短い」といった意見があるようですが

この質問を裏返せば

「あなたの人生を本にまとめるとしたらどれくらい日常描写で埋まりますか?」

という問いかけにもなると思います。

 

確かに、ベンジャミンの人生は特別なものではありませんでした。

しかし、彼は知的好奇心をエンジンにして、一般人を上回る世界旅行を行っています。

まるで、自身のミッションが世界を見て回ることのように。

彼の人生には「個人史に残る出来事」が数多くありました。

だからこそ「ありふれた日常」の描写が少なかったのかな?と思います。

 

私たちもいずれ老い、この世を去ります

「ベンジャミンバトンの本」ではなく

「あなたの本」が残るのです。

私が死ぬときは「ささみの本」が残ります。

その本がどんな内容なのか

また、どんな本にしたいのか

逆算しながら、想像しながら毎日を送ってみると

日常が少し違ってくるかもしれません。

 

総評

個人的には大満足でした。

老い行くヒロインと幼くなるベンジャミンの対比も面白く、

教訓めいたセリフが多くみられた映画でした。

「人生は機会に左右される」

「やることが決まった人生は思いのほか複雑ではない」

とかですかね。

ヒューマンドラマが好きならオススメです。

ラブストーリーとは毛色が少し違うので

ラブストーリーとして見るものではないかもしれません。

 

5点満点で4点!

そんな感じでした!